国際結婚における配偶者ビザの申請はどうする?具体的な要件と審査のポイントについて解説

文責:弁護士 森田清則

最終更新日:2025年05月13日

1 国際結婚で必要となるビザの種類

 近年、日本においても国際的な交流が進み、日本人が外国人と結婚するケースや日本の永住権を持つ外国人が永住権を持たない外国人と結婚するケースなどの国際結婚が増加しています。

 ここでは、それらの配偶者等が取得する身分系ビザである「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」の在留資格を紹介します。

⑴ 日本人の配偶者等ビザ

 「日本人の配偶者等」の在留資格は、日本人の配偶者、特別養子、日本人の子として出生した者が対象とされています。

  ア 日本人

  日本国籍を有する者を指し、法律上判断されます。

  イ 配偶者

  日本人と法律上有効な婚姻関係にある者のことを指します。

  そのため、内縁の配偶者は、本資格の要件を満たしません。

 また、現在、婚姻関係にあることが求められますので、すでに日本人配偶者が死亡している場合や日本人配偶者と離婚している場合にも、本資格の要件を満たしません。

 本資格においては、法律上の有効な婚姻関係があるという形式的な要件に加えて、夫婦共同生活を営んでいるという婚姻の実態を伴うものでなければならないとされており、形式的に婚姻しているというだけでは必ずしも在留資格が認められない場合があることに注意が必要です。

  ウ 特別養子

 特別養子は、実方の父母及びその血族との親族関係を終了させるという制度趣旨に鑑み、「日本人の配偶者等」の在留資格の対象とされています。

  一方、一般的な普通養子は、本資格の対象とならないことに注意が必要です。

  エ 日本人の子として出生した者

  嫡出子のほか、認知された非嫡出子も含まれます。

⑵ 永住者の配偶者等ビザ

  ア 永住者

 「永住者」の在留資格は、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能があることなどの条件を踏まえて、法務大臣によって日本での永住が認められた者を指します。

 「永住者」の在留資格を有する外国人は、行うことができる在留活動に制限がなく、また、在留期間にも期限がありません。

  イ 特別永住者

 いわゆる在日韓国人、在日朝鮮人を指し、行うことができる在留活動に制限がなく、また、在留期間にも制限はありません。

  ウ 配偶者

 「永住者」または「特別永住者」の資格を有する外国人と法律上有効な婚姻関係にある者のことを指します。

 日本人の配偶者等の場合と同じく、内縁は含まれず、現在婚姻状態にあることが求められ、実態があることも求められます。

  エ 子

  実子を指し、養子が含まれないことは日本人の配偶者等と同様です。

  特別養子が含まれないという違いがある点に注意が必要です。

  オ 日本で出生しその後も日本国に在留すること

 日本国外で出生してその後日本へ入国した者は対象になりません。

2 配偶者ビザ申請が許可されるためのポイント

⑴ 結婚に信ぴょう性があること

 近年、配偶者ビザを取得するために偽装結婚などをする例が多発しており、入管においては、結婚の信ぴょう性について慎重に判断する運用がなされています。

 形式的には、結婚したことを証明する書類が必要になります。

 日本で結婚した場合には、市区町村役場で発行される婚姻届受理証明書、海外で結婚した場合はその国の結婚証明書とその翻訳の提出が求められます。

 また、結婚に至るまでの交際期間の長さや交際中のやり取りなどが入管の判断の基礎とされることがあり、特に交際期間が短い場合や交際期間中のやり取りが少ない場合には、偽装結婚と誤解され、在留資格の取得が認められないこともあります。

 そのため、配偶者ビザ申請で許可を受けるためには、結婚に至った経緯や交際期間の親密なやり取りなどの結婚の信ぴょう性を立証する資料の準備が重要になります。

⑵ 収入

 入管における審査では、日本で配偶者等とともに安定した生活を送ることができる経済基盤の有無が考慮要素とされます。

 そのため、日本で配偶者等とともに生活を維持することができるだけの収入源があることについて証明する書類の提出が必要になり、具体的には、給与明細、預金通帳の写し、所得証明書などを準備することになります。

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